奥村武さん・真代さんご家族
平成25年、美里町馬場地区に「宮の前若者住宅用地」を分譲。子育て世代のニューファミリーが憧れのマイホームを手に入れ、のびのびと暮らしている。その一区画に入居したのが、町外で牧場を経営する奥村武さん・真代さんと子どもたちだ。
奥村さん宅を訪ねると、なんとちいさな馬2頭を囲む子どもたちの姿が目に飛び込んできた。牧場で飼っているミニチュアポニーを連れてきて、住宅地に住む子どもたちに触れ合いの時間を、という奥村さんご夫妻のとっておきのプレゼントに、子どもたちの瞳が生き生きと輝く。どの子もおっかなびっくり、手を差し出しては大喜びだ。
武さんは酪農を営む牧場の三代目として生まれ、馬やヤギなどの繁殖・販売を手掛けている。移住するまでの家は、その広大な牧場の中心にあり、自由に出入りすることができない環境だった。「防疫の面からも牧場内は関係者立ち入り禁止。子どもたちが幼稚園や学校に通う頃には、お友達にいつでも遊びに来てもらえるような環境を整えたかったんです。長女が小学校に入学するタイミングに合わせて、移住しました」。
美里町外にも分譲地があるものの、100区画以上もあるようなマンモス団地。同じ団地内に住む人の顔を覚え、ご近所付き合いできるような程よい分譲地を探していた際に、ちょうど募集が始まったばかりの「宮の前若者住宅用地」の前を通りかかったのだとか。全16区画という程よい規模の新興住宅地は、ご夫婦が思い描いていた理想の団地。迷わずすぐに決断したという。
「引っ越してきて全てが一変しました。子どもたちの表情まで明るくなり、ちいさな社会の中で、いろんな経験をしながら成長しています。私自身も子育て中のお母さんたちと交流できることで、育児の悩みも相談できる。そのことが本当にうれしいですね。心から引っ越してきてよかったと思います」。放課後、仲よく遊ぶ子どもたちを見守りながら、お母さん同士の語らいの時間が何よりも楽しいと話す真代さん。充実した時間は、美里町への思いも育んでいるようだ。
「少しずつ準備を進めて、新規就農したいんですよ。美里町は和牛のまち。高齢化が進む酪農農家のサポートもできたらいいですね。私たちはここで生まれ育
ったわけではない分、積極的に地域に関わっていきたい」と真代さんの思いは熱い。若い担い手の力が地域に入ると、活性化にもつながっていく。武さんもまた、地域が元気になれるよう動物たちと一緒にできることも模索している。「幼稚園や保育園、学校をはじめ、福祉施設などへ動物を連れて慰問することも私たちの目標のひとつ。心身を癒すホースセラピーで、お年寄りが馬に触ろうと手を伸ばしたり、一歩でも歩こうと思ってくれ、リハビリの機会になればうれしいですね」。
「ここで暮らす人は、みんな家族」という武さんの言葉が心に響いた。
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